まだそんなこと言うてるの?
この前ラジオで聞いた「まだそんなこと言うてるの?」という言葉に打ちのめされている。
これを言ったのは漫才コンビ・ネコニスズのヤマゲンで、相方の赤ちゃんこと舘野忠臣が、最近売れてきて引っ越すことになり、おしゃれな部屋にしたいと語っていたことに対しての突っ込みだった。
ヤマゲンが続けて言った言葉にさらに打ちのめされる。
「みんな株の話とかしてるのに、おしゃれな部屋って18の子が言うことやで」
ネコニスズについて、最近売れてきたとか成人男性が赤ちゃんと称するネタをやっていると聞くと若いと思うかもしれないが、ヤマゲンが39歳、赤ちゃんが43歳だ。
ちなみに私は赤ちゃんと同世代だ。
ヤマゲンのツッコミで急に目が覚めた。
赤ちゃんはうっすら自分と重なる。
ちょっとマイナーなものが好きとか、人の成功を素直に喜べないとか、いつまでも若い気でいるところとか・・・。
私と赤ちゃんの違いは、赤ちゃんは持ち前の人の好さと面白センスとヤマゲンのつっこみのおかげで、そういう18みたいなことを言っても面白エピソードに転化できるが、私にヤマゲンはいないから、面白エピソードにはならずむしろちょっとヤバイ人になってしまうところだ。
「まだそんなこと言うてるの?」
って、「もうちょっと年相応になりなさいよ」というふうに聞こえるけど、私はそれ以上の意味を受け取った。
「もうちょっと自分のこと客観的に見たほうがいいよ」
いくら自分が中立で客観的で、自分が正しいと思っていても、認知がゆがんでいることってすごくある。しかし、それを人から直接指摘されても自分の認知がゆがんでいることを認められない。
でもメンタリティが自分と似ていると思っている人が、自分がしそうな発言をして突っ込まれているのを見たことで、「あ、もうやめよ」と思ったのだった。
「もうやめよ」と思ったのは、自分が今まで見ないふりしてきたことをそのままにすることだ。
それはつまり、自分を大きく見せることや、自分を過大評価することや、誰かに評価してもらうことで自分を保つようなこと。
もっというと、自分の実力を受け入れられないことについて。
自分が才能がある証拠を自分の人生の中からこすり取って寄せ集めて、それをよすがにして書くことやものを作ることをやってきた。そして、自分が評価されない理由を、作品以外の理由に求めてきた。
つまりは、今のものを書く人間としての自分のありようを自分以外のもののせいにしてきたということだけど、もう、そういうのをやめようと思ったのだ。
それは、ヤマゲンのツッコミがこんなふうに聞こえたからだ。
「まだそんなこと言うてるの? もの書く姿勢がなってないんとちがう?」
いつだって今が若いし何歳になってもチャレンジできる。
それは嘘じゃない。
でもそのチャレンジが失敗したときに、18歳みたいな気分のままで、誰が責任を取るのか。
18歳ならやってもかわいげがあることは、43歳には許されない。
18歳ならまだやり直せるし、誰かのせいにもできるが、43歳には遺された時間も体力も少ない。
誰かのせいにして18歳なら許してくれても、43歳でそれをやってついてきてくれる人がどれほどいるだろうか。
まず、自分の実力を受け入れる。
そしてその上で、諦めたりぐちぐちいったりいじけたりしないで、ちゃんと勉強して行きたいところへ行けるように頑張る。
「あの人よりマシ」と、誰かと比べたり、「それなりに作れている」今の自分に甘えたりしない。
できないことを恥ずかしがらない。
分からないことは語学や空手と一緒で、人に習ったり教えてもらったりする。
読者のせいにしない、読者をバカにしない。
もうほんとに自分が変わりたいと思った。
ちょっとでも驕ったり、人のことを軽んじる気持ちが出てきたら、今度からヤマゲンの言葉を思い出そう。
「まだそんなこと言うてるの?」
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